訪問看護における退院時共同指導加算・特別管理指導加算について
更新日:4月19日

訪問看護における医療保険請求の「退院時共同指導加算・特別管理指導加算」についてご紹介します。訪問看護ステーションを運営する中で、請求・加算内容についてしっかり把握して、適切運営を行うことが重要です。しっかりとチェックしておきましょう。
目次
退院時共同指導加算・特別管理指導加算とは?
医療保険における退院時共同指導加算とは、病院、診療所又は介護老人保健施設もしくは介護医療院に入院中または入所中の者が退院・退所する際に、医師やスタッフと連携して在宅生活での療養上必要な指導を行い、その内容を文書により提供した際に算定できる加算です。令和3年度介護報酬改定では、退院時共同指導加算の算定要件について、新型コロナウイルス感染症対策やICT活用の観点から、テレビ電話等の活用が認められるようになりました。
特別管理指導加算とは、退院時共同指導加算を算定する利用者のうち、特別管理加算*が算定できる状態に該当する利用者*について、更に算定することが出来ます。
※特別管理加算の対象となる利用者について
以下のいずれかに該当する利用者
在宅悪性腫瘍等患者指導管理
在宅気管切開患者指導管理
気管カニューレの使用
留置カテーテルの使用
在宅自己腹膜灌流指導管理
在宅血液透析指導管理
在宅酸素療法指導管理
在宅中心静脈栄養法指導管理
在宅成分栄養経管栄養法指導管理
在宅自己導尿指導管理
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
在宅自己疼痛管理指導管理
在宅肺高血圧症患者指導管理
人工肛門、人口膀胱の設置
真皮を越える褥瘡
週3日以上の点滴注射
退院時共同指導加算・特別管理指導加算の金額
加算の種類 | 金額 |
退院時共同指導加算 | 8000円/回 |
特別管理指導加算 | 2000円/回 |
退院時共同指導加算・特別管理指導加算の算定要件
病院、診療所又は介護老人保健施設もしくは介護医療院に入院中または入所中の者が退院・退所する際に、医師やスタッフと連携して在宅生活での療養上必要な指導を行うこと
退院時共同指導の内容を文書によって提供すること
退院・退所後に訪問看護を行うこと
退院時共同指導の内容を訪問看護記録書に記録すること
対象者に対して退院時共同指導加算を算定すること(特別管理指導加算)
退院時共同指導加算・特別管理指導加算の留意点
退院・退所後の1回目に訪問した訪問看護の所定の金額に加算する
退院・退所につき1回に限り算定する。ただし、基準告示第2のⅠに規定する疾病等の利用者*については、複数日に実施した場合は2回算定できる。
2回算定できる利用者に対して、複数の訪問看護ステーション等が退院時共同指導を行う場合、それぞれの訪問看護ステーション等において、1回ずつの算定も可能。
初日の訪問看護が行われる前に、死亡や再入院した場合は算定出来ない
訪問看護管理療養費を算定する月の前月に行った場合も算定可能
退院時共同指導は、テレビ電話装置等を活用して行うことも可能。ただし、テレビ電話装置等の活用について利用者またはその看護に当たる者の同意を得ることが必要となる。また、テレビ電話装置等を活用する際は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守する必要がある。
基準告示第2のⅠに規定する疾病等について
末期の悪性腫瘍
多発性硬化症
重症筋無力症
スモン
筋萎縮性側索硬化症
脊髄小脳変性症
ハンチントン病
進行性筋ジストロフィー症
パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る))
多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレ―ガー症候群)
プリオン病
亜急性硬化性全脳炎
ライソゾーム病
副腎白質ジストロフィー
脊髄性筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
後天性免疫不全症候群
頚髄損傷
人工呼吸器を使用している状態
特別管理指導加算の対象者
退院時共同指導加算・特別管理指導加算のQ&A
退院時共同指導を実施した2ヶ月後に退院後初回の訪問看護を行った場合は退院時共同指導加算を算定できるのか。
算定できない。退院後初回の訪問看護を行った月の同一月若しくは前月に退院時共同指導を実施した場合に算定できる。
退院時共同指導加算を2ヵ所の訪問看護ステーションで算定できるのか。
退院時共同指導加算は、1回の入院について1回に限り算定可能であるため、1ヵ所の訪問看護ステーションのみで算定できる。ただし、特別管理加算を算定している状態の利用者(1回の入院につき2回算定可能な利用者)について、2ヵ所の訪問看護ステーションがそれぞれ別の日に退院時共同指導を行った場合は、2ヵ所の訪問看護ステーションでそれぞれ1回ずつ退院時共同指導加算を算定することも可能である。
退院時共同指導加算は、退院又は退所1回につき1回に限り算定できることとされているが、利用者が1ヶ月に入退院を繰り返した場合、1月に複数回の算定ができるのか。
算定できる。ただし、例2の場合のように退院時共同指導を2回行った場合でも退院後1度も訪問看護を実施せず再入院した場合は、退院時共同指導加算は1回のみ算定できる。
(例1)退院時共同指導加算は2回算定できる
入院→退院時共同指導→退院→訪問看護の提供→再入院→退院時共同指導→訪問看護の実施
(例2)退院時共同指導加算は1回算定できる
入院→退院時共同指導→退院→再入院→退院時共同指導→訪問看護の実施
特別管理指導加算は、理学療法士等が退院時共同指導を行った場合も算定できるか。
算定できる。
退院時共同指導加算・特別管理指導加算のまとめ
今回は医療保険の退院時共同指導加算・特別管理指導加算について解説しました。作成時点の最新資料・情報を基に作成していますが、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。